
第6章 Uターン促進に関する取組み
ターンアドバイザーからの視点
第1節 青森県の事例
青森県は、日本有数の労働力供給県として位置づけられてきた。それは、現在なお基本的に変わっていない。
青森県は、本州最北端の緯度に位置し、冬が長く夏が短い気象条件のため、通年での就業機会に恵まれず、とりわけ第一次産業就業者から多くの出稼ぎ労働者を輩出してきた。出稼ぎ労働者数は、景気後退、出稼ぎ者の高年齢化等によりピーク時に比べ大幅に減少しているものの、平成7年度で33,707人、全国の29.7%にあたり依然として全国一位を占めている。また、新規高等学校卒業者の県外就職者の割合をみると、平成8年3月卒業者で35.4%、平成3年度から平成7年度までの5年間の平均では43.1%を占め、全国的にみても高い水準となっている。
労働市場の需給関係の指標である求人倍率(有効)は、平成7年度は平均0.39倍と低く、昭和60年度から平成6年度までの10年間の推移をみても昭和60年度の0.18倍を底に、最高は平成2年度の0.69倍、10年間の平均では0.43倍であり、この数値は東北6県で一番低く全国でも極めて低い水準になっている。
このように、青森県の場合は地元で就職したくても働く場所が少なく、やむを得なく県外へその場を求めてきたのであり、特に首都圏を中心に他県への人材流出を余儀なくされてきたのである。それ故に県民のUターン願望は根強いものがあり、そのような潜在意識をもちながら県外で働いている人が、なお多く存在している。
1.
Uターン対策の現状
青森県のUターン対策は、人材地方還流促進事業として平成2年度からスタートした。
事業初年度においては、県内11公共職業安定所と67市町村、青森県東京事務所にUターン窓口を設置、Uターン就職希望者の受付業務を開始し、平成3年度以降Uターン業務体制の整備、拡充を行い、Uターン希望者の円滑な地元への就職促進、援助を行ってきた。
その結果、平成8年11月現在で、Uターン就職希望登録者5,787人、Uターン就職決定者801人となった。就職者の傾向をみると、30歳未満が69%で若年層が多く、職種では、専門職・技術者が51%と全体の半数を占め、次いで技能・製造関係職種が16%、営業販売職種が15%の順となっている(図表6-1)。
(1)
Uターンアドバイザーの配置
Uターンアドバイザーを青森、八戸、弘前の各公共職業安定所に配置するとともに、青森県東京事務所に2人配置して相談体制が強化された。
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